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新・生涯学習制度について 認定理学療法士は必須資格になる?

2021年に理学療法士の生涯学習制度が変更されます。この制度も変更によって我々理学療法士を取り巻く環境も大きく変わってきます。今回は、理学療法士の生涯学習制度の変更について、そして、これから理学療法士に求められることをまとめました。

これまでの生涯学習制度は

現行の生涯学習制度は1997年(平成9年)に開始され、現在に至っています。これまで細やかな制度改正は行われてきましたが、今回のような大幅な制度改正は約20年ぶりになります。

これまでは各種専門分野に登録→必要な研修へ参加しポイントを集める→レポート提出、試験を合格する、という流れでした。

年度受験者数合格者数合格率
H28年1669名1081名64.7%
H29年2343名1510名64.4%
H30年3473名2987名86.0%

合格率は約64%程度、2017年現在、認定理学療法士を取得している人数は4,440名で会員全体の3.8%程度です。

しかし、平成30年度は約90%の合格率です。

制度が変わる前の駆け込み受験が多かったからでしょうか。

2019年7月1日のデータによると、認定理学療法士取得者数は7,641名で、PT協会員の約6.2%が取得していることになりますね。

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どのように変わるのか

では、2021年にこの制度がどのように変更されるのでしょうか。日本理学療法士協会(以下、協会)は今回の改定の目的を、

今回の改定の目的を端的に表せば、「理学療法士の臨床能力の底上げ」と「努力(研鑽)をした会員が正当に評価される」ということである。     JPTA NEWS No.309より抜粋

としています。つまり、理学療法士の質の向上に努める・頑張った会員に何かしらのインセンティブを与えようということです。

今回の改定のポイントは以下の通りです。

改定のポイント

研修理学療法士プログラム(現新人教育プログラム)および認定理学療法士プログラムの大幅な時間増加
登録理学療法士制度の新設により実質的免許更新制を目指す
・外部評価が得られる水準に進化させ、認定理学療法士制度を医療広告ガイドラインにも合致するものに
OJT(On the Job Training)の導入
・e-Learningの積極的活用
・外部評価機構の構築

主に特記すべきは”研修理学療法士”と”登録理学療法士”の創設でしょうか。

研修理学療法士と登録理学療法士について

研修理学療法士は卒後2年程度を想定しており、現制度でいう新人教育プログラムに相当します。

研修理学療法士は、「前期研修」と「後期研修」に分けられます。

前期研修

前期研修は座学と実地研修の2つに分けられます。座学に関しては、初めは対面研修ですが、途中からe-ラーニングでの受講も可能となっています。

実地研修は➀自施設での受講か➁他施設での受講のどちらかを選択出来るようです。実地研修については今後マニュアルを作成するようです。実地研修にもe-ラーニングが利用できるようです。

後期研修

後期研修は座学、領域別研修、最近の知見の領域に分けられ、座学、最近の知見の分野ではe-ラーニングが活用できますが、領域別研修では、士会が主催する症例検討会や施設内での症例検討会などで、 発表や参加(聴講)をする必要があります。

そして新制度は、さらに6000時間の臨床経験が必要となり、履修までの時間が大幅に増えている点が特徴です。そして、研修理学療法士を修了した後は、登録理学療法士として認定理学療法士の取得を目指します。

現行の制度では、専門分野登録後約効率よく研修会に参加し、レポートを作成すれば、最短で2年あれば認定理学療法士を取得できました。しかし、新制度では登録理学療法士になった後、最低でも3年間(卒後5年を想定)研修に参加しないといけません。

つまり、認定理学療法士を取得するまでの研修時間が大幅に増えます。(約638時間程度+6000時間の増加)

前期。後期研修のカリキュラムは以下の通りです。

既に働いている現役の方は、今のうちに取得しておいた方が良いかもしれません。

この制度が開始になると、現行の新人教育プログラムは打ち切られ、履修途中の場合でもこれまで取得した単位も無効となりますので注意が必要です。

セラピスト間の格差拡大につながる

上の記事は現PT協会の会長である半田一登氏が今後の理学療法士の生涯学習の事に触れていています。

半田会長:今、協会として何をしようとしているかというと、認定・専門をとるために何らかの努力をしている人たちを、診療報酬の形としてメリットをつけましょうよ、という交渉をしています。これは例えですが、簡単に説明すると、脳血管疾患は今200点です。それに対して、脳血管疾患の特別な勉強を行なって、ライセンスを取得した場合、210点。その逆に、それを持っていない人たちが行うと、190点。トータルの診療報酬で考えると今までと一緒ですよ、と。

今後は認定理学理学療法士を取得していないと、診療報酬上での減算が行われてしまいます。

この制度が実現すると、認定理学療法士を取得しているセラピストと取得していないセラピストで、同じ単位数でも売り上げに差が出てきます。

もう一度記事を見てみましょう。

例えば、患者さんはどこの病院のどの医師に診てもらうかを選んで受診します。一方で、理学療法士に限らず、療法士に関しては選択権が患者さんにありません。これは絶対に変えていかなければなりません。患者さんに選択権を渡すことで、努力した理学療法士と、そうじゃない理学療法士の差が見えてきます。そこに競争社会を作るべきではないかと考えています。競争なくして希少価値を磨く努力も必要ありません。協会は、厚生労働省に対しては交渉し、会員に対してはキャリアアッププログラムを用意する。といった努力をしている段階です。

協会は理学療法士の中で競争社会を作り出したいようです。

これからは理学療法士も患者さんに選ばれる時代になるようです。

では患者さんからみてどうでしょうか?認定理学療法士を取得していたからといってその人を選ぶでしょうか?

現状のプログラムでは座学で済む講習会が多く、技術的な講習会が少ないです。現に現在の認定理学療法士制度であれば、レポート提出とペーパー試験をパスすることで取得できます。

つまり、その分野の知識さえあれば認定理学療法士を取得できるわけなんです。

もともと理学療法はサイエンス(科学の面)とアート(技術の面)で成り立っています。サイエンスは所謂エビデンスの話や、最新の医学的研究等の知識が含まれ、アートの部分は触診などの技術が含まれます。

現行の認定理学療法士制度ではサイエンスの部分が強調され、アートの部分が蔑ろにされている印象を受けます。

もちろん患者さんはそんなことまでは分からないでしょうから、”認定”のワードに惹かれるかもしれません。しかし、実力が伴っていないと馬子にも衣裳と言われてしまいます。知識だけでは患者さんは良くなりません。

そこで新しい生涯学習制度では、座学研修と臨床研修に分かれています。従来の座学中心の講習会ばかりではなく、今後は実技などが含まれる講習会が増えると思います。

まとめ

これから我々理学療法士を取り巻く環境は大きく変わってきます。

今後の生涯学習制度の変革に期待をすると同時に、新制度が開始する前に認定理学療法士を取得できる人は取得を目指しましょう。