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認知症ケア

認知症について‐BPSDに対する対応について考える‐

以下の記事は認知症についてまとめた記事です。

臨床の現場で認知症の人を担当する機会は大変多いです。認知症といえども症状の出方や進行具合など、1人1人形が全く異なるものです。認知症に対する理解を深めることで対応の仕方やアプローチ方法も変わってくるはずです。今回は認知症についてまとめてみました。

認知症の基礎

認知症には中核症状と周辺症状に分けられます。
中核症状は加齢等に伴い脳の器質的変化に伴い生じる症状で、物事を覚えられない記憶障害や、計画や段取りが上手く出来なくなったり、服の着替えが出来なくなる症状を指します。症状が進行すると高次脳機能障害が出現するケースもあります。

周辺症状はBPSD( Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia:行動・心理状態)とも呼ばれ、周囲の環境や人との関りによって出現する症状で、大声を出したり、反社会的な行為(脱抑制)を行ったり、介護に反抗したりと多様な症状を呈します。

上の図のようにBPSDの症状は様々で、介護者はBPSDの対応に大変苦慮します。脳の基質的な変化は不可逆性であるため、現在では治療方法がありません。しかしBPSD(行動・心理状態)は、投薬や周囲の環境の整備、介護者の関りで症状を抑えることが出来るケースもあります。

・認知症は老化等によって生じる脳の器質的症状とは別にBPSD(行動・心理状態)がある

・BPSDは投薬や周りの人の関わり方で症状を軽減できるケースがある

BPSD(行動・心理状態)への対応

先に述べた通り、BPSDは投薬や周囲の環境整備によって症状を軽減できます。では、具体的にどのような対応を行えばいいのでしょうか?

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環境を整える

まず優先されるべき事は周りの環境を整えることです。

・騒音・騒がしいなどの刺激を取り除く

・音楽や香りなど心地の良い刺激を取り入れる(昔の童謡やアロマなど)

・ベッドや机周りの環境を頻繁に変えない

・なじみの関係性(通いの場)を設ける

・壁に目印などを付け、場所が分かりやすいよう配慮する

認知症の人は見当識障害が起こりやすく、入院中にBPSDが出現し、不穏(精神的に落ち着かない状態)に陥る方が非常に多いです。認知症の人は精神的ストレスに大変弱く、ベッドの位置や、家具の位置の変更などでも精神的に非安定になりやすいです。(リローケーション・ダメージ)

また、認知症の方は大きな音や、騒がしく人が多く行き交う場所だと落ち着きがなくなることがあります。その場合は騒音などがしない場所へ誘導することが大切です。

更に、認知症の方には他者となじみの関係を持つことが有効である場合があります。私は以前通所リハで働いていましたが、BPSDが出現しやすい利用者の方々を対象に、集団リハを実施していました。

ほぼ毎日同じ顔触れが揃い共に運動を行いながら、セラピストが利用者同士の間に入り、会話を楽しむ。その中でお互いがなじみの関係性を築けるよう介入しました。決してBPSDが完全になくなったわけではないですが、認知症の人も笑顔で過ごすことが多かったです。

昔の童謡や心地よい匂いなどで落ち着く人もいます。BPSDへの対応としては、まず周囲の環境を整えることから始めます。

接遇を考える

臨床の場でよく目にする認知症の人への接遇。

まるで子供に言い聞かせるように注意などをしていませんか?

今の症状を見ると奇抜な性格であるその人も、かつては学校の教師や会社の社長さん、はたまた医者をしていた方かも知れません。

「認知症になった人」である前に「1人の人生の先輩」なのです。

そのような方に上から物を言うように接してもいい感情を抱くわけがありません。高齢者と接するプロである我々が、BPSDを引き起こす要因とならないよう接遇には特に気を付けなくてはならないのです。

認知症の人に接する技法としてユマニチュードという技法があります。

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最終的に薬物療法も選択肢に

BPSDに対しては環境の整備が重要ですが、症状が激しい場合は服薬療法も選択されます。症状が強い場合でも、まずは少量の向精神薬や抗うつ薬が使われます。認知症の人は高齢者の方が多い為、服薬後にパーキンソン症状やふらつき、傾眠等の副作用が出現することがあります。

介入時には、服薬状況等を確認して、転倒等のリスクに備えましょう。

・BPSDへの対応はまずは環境整備から行う

・認知症の人でも「なじみの関係性」を築くことで、BPSDの症状緩和に繋がる

・介護者(職員)との関わりによって生じるBPSDもある

・薬物療法は最終手段。副作用に注意する

 

終わりに

PTとしてリハビリを行う際も、認知症の方の担当になることは多々あります。そのような方のリハビリをどのように行うか難渋するケースも少なくありません。

しかし、PTだからといって認知症をおろそかにしてはいけません。ただ離床して歩くことがPTの役割ではありません。

認知症とBPSDの関係性を理解し、「1人の人間として」その方と接することが出来る様理解を深める必要があります。